最終更新: 2026年6月7日
アンビエントとドリーム・ポップの間で揺れ動く
『死んでも一生』は、アンビエント作品でもあり、シンガーソングライターとしての試みでもあり、同時にBroadcast(※1995年にイギリスのバーミンガムで結成されたユニット)の作品群を微かに彷彿とさせるドリーム・ポップのアルバムでもある。
それらの間を絶え間なく揺れ動いている。そしておそらく、その曖昧な境界線こそが、先に提示された矛盾を解き明かす鍵となるのだろう。
時間という概念を問い直す
“過去が存在するためには記憶の助けが必要である”という考えや、“現在こそが絶対的な真実である”という概念、あるいは“未来とは常にそこに存在する約束である”という思い込みを取り払ってみたい。
そうすれば、私たちは“時間”を、それが今なお進行している最中であっても、すでに起こった出来事として捉えることができるかもしれない。
始まりと終わりが、同じ場所で一つに溶け合うように。
もし私たちが“ここ”にいるのなら、同時に“そこ”にもいるのだ。
もし私たちが“今”を生きていて、何かを感じ、何かを覚えているのなら、それは私たちがかつて存在し、これからも永遠に存在し続けるということを意味するのではないだろうか?
総評──想像力を解き放つ幾重ものレイヤー
このアルバムは、精神を解き放ち、想像力を掻き立てる幾重ものレイヤーに満ちている。
荒れ狂う水面を力ずくで手なづけるのではなく、その流れに寄り添うことで航海を進めていくような作品だ。
この音楽に出会えたという魔法のような喜びに浸りながら、私は心からの賛辞と共に本作を推薦したい。
野口文アルバムリリース
3rdアルバム『死んでも一生』
発売日: 2026年5月6日
収録曲:
1. 頭
2. 目(1)
3. 目(2)
4. おんぶに疲れて
5. bus
6. ボレロ
7. 突然楽しくて呼吸を忘れて(1)
8. 突然楽しくて呼吸を忘れて(2)
9. 突然楽しくて呼吸を忘れて(3)
10. 恋をしている
11. 死んでも一生
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野口文プロフィール

都内在住の音楽家。幼少期よりクラシックピアノを学び、高校3年時に自宅での楽曲制作を開始した。2020年、野口文也(Key.)を中心に結成された音楽プロジェクト集団C子あまねのコンポーザーとして「晴天に雷鳥」「鉄道橋」などをリリース。各種ストリーミングサービスで多数のプレイリスト選出を果たした。2023年よりソロプロジェクト「野口文」として始動し、2024年には1stアルバム『botto』がASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏主宰〈APPLE VINEGAR – Music Award〉の特別賞を受賞。クラシックを下地にジャズ、ロック、ヒップホップのエッセンスを独自に昇華し、革新的なサウンドを模索し続けている。
ライター:RAM

アルゼンチン国立芸術大学で音楽作曲を学ぶ学生。文章を書くこと、音楽の発見、そして音楽を共有し関わることに情熱を注いでいます。また、ソフトウェア開発者としても働いています。
ウェブサイト:
Instagram:@ramcst











