最終更新: 2022年6月18日

オーストラリアのシンガーソングライター、Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)が新曲「Lydia Wears A Cross」をリリースした。

この記事では「Lydia Wears A Cross」の歌詞を和訳し、BELONG独自の解釈で考察を加えている。

ジュリア・ジャックリンが幼少期にカトリックの学校で体験した今でも癒えぬトラウマとは?

Julia Jacklinとは

Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)
Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)は1990年8月30日生まれ、オーストラリア・シドニー出身のシンガーソングライターである。

彼女はオーストラリアのブルー・マウンテンズで、学校の教師の家庭に育った。

幼少期にブリトニー・スピアーズから影響を受け、10歳の時に歌手としてのレッスンを受けた後、アヴリル・ラヴィーンやEvanescenceのカバーを演奏する高校のバンドに参加した。

ソロとしてデビューする前は2012年にSalta、2014年にPhantastic Fernitureの2つのバンドに参加している。

2016年にデビュー・アルバム『Don’t Let the Kids Win』をリリースし、同年のFBi Radio SMAC Awardsで“Next Big Thing”に選出された。

2019年にセカンドアルバム『Crushing』をリリース。

Julia Jacklinは同郷のポストパンクバンド、 RVGと共にビョークのカバー曲「Army Of Me」を公開している。

JLydia Wears A Cross

PRE PLEASURE

Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)の「Lydia Wears A Cross」は2022年8月にリリースされるサード・アルバム『Pre Pleasure』の第一弾シングルである。

『Pre Pleasure』は共同プロデューサーにマーカス・パキン(Arcade Fire, The National)を迎え、モントリオールでレコーディングされた。

ストリングスのアレンジはオーウェン・パレットが担当している。

Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン) – Lydia Wears A Cross (Official Video)

Lydia Wears A Cross歌詞和訳

キリスト教がテーマとなっているJulia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)の新曲「Lydia Wears A Cross」の歌詞を和訳していく。

列になって座る
膝をつき、目を閉じて
靴とドレスに身を包んだ私はかわいいでしょ
戸惑うことばかりだけど、私の心の声は(彼に)届いたかな?
リディアは十字架を身に着け
決して外さないと言っている
私たちは背中合わせに座る
ジーザス・クライスト・スーパースターを聴きながら

“Seated in rows
Knees and eyes closed I felt pretty
In the shoes and the dress
Confused by the rest, could he hear me?
Lydia wears a cross
Says she’s never gonna take it off
We sit back to back
Listening to Jesus Christ Superstar soundtrack”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」歌詞(Genius Lyrics)

私は信者になる
歌とダンスだけなら
きっとなれるはず
チャンスがあると思えば

“I’d be a believer
If it was all just song and dance
I’d be a believer
If I thought we had a chance”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」歌詞(Genius Lyrics)

ボードに目をやり
主へ思いを馳せる
私たちはプリンセス・ダイアナのために祈っていた
ミス・ブラウンは点数をつけていた
ヴィヴィアンは何とか落第せずにいた
でも歌い方を間違えた
パレードフロートの上で
虹色のコートの下にレオタードを着た子供だった

“Eyes to the board
Thoughts to our lord
We were praying for Princess Diana
Ms. Brown was keeping score
Vivien’s holding on
But singing every single word wrong
On the parade float
Just a child in a leotard beneath a technicolour dream coat”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」歌詞(Genius Lyrics)

私は信者になる
歌とダンスだけなら
きっとなれるはず
チャンスがあると思えば

“I’d be a believer
If it was all just song and dance
I’d be a believer
If I thought we had a chance”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」歌詞(Genius Lyrics)

静かに一列になって
心が引き裂かれるよう
許して、許して、どうか許して
さあ、あなたも試してみて

“The line up, the quiet
The bleeding heart divided
Forgive me, forgive me, forgive me
Go on, now you try it”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」歌詞(Genius Lyrics)

そういえば、すべての集会で腕を高く上げ
“家族へようこそ”と歌ったんだっけ
人魚たちが歌い出す
赤ちゃんたちはどこに行ったの?

“Oh, we sung “Welcome to the Family”
Arms raised, at every assembly
Little sirens singing their songs
Where have the babies gone?”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」歌詞(Genius Lyrics)

私は信者になる
歌とダンスだけなら
きっとなれるはず
チャンスがあると思えば

“I’d be a believer
If it was all just song and dance
I’d be a believer
If I thought we had a chance”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」歌詞(Genius Lyrics)

Lydia Wears A Cross歌詞和訳まとめ

Lydia Wears A Cross歌詞和訳まとめ
クレジット:pexels
Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)の新曲「Lydia Wears A Cross」は宗教がもたらす幼い頃のトラウマがテーマである。

Lydia Wears A Crossの意味

「Lydia Wears A Cross」というタイトルの意味は歌詞に出てくるように、キリスト教を熱心に崇拝するリディアという少女が肌身離さず、十字架を身に着けているということである。

つまり、幼いながらもキリスト教への信仰の強さを表現している。

“リディアは十字架を身に着け
決して外さないと言っている ”

キリスト教とトラウマ

「Lydia Wears A Cross」は敬虔なキリスト教信者が幼少期に味わうトラウマについて描かれてたもので、恐怖を与えられることがきっかけとなっている。

pitchforkの同曲のトラックレビューでは、宗教の恐怖によって子供が支配される過程について書かれている。

“宗教は子供にとって大きなプレッシャーになる。大人たちは(そして自分の想像力も)、自分のすることすべてが永遠の罰につながると信じ込ませ、靴の結び方さえ100%わからないまま、この結果として意思決定を前に進めというのです。キリスト教の儀式と華やかさは、奇妙で、恐ろしく、スリリングで、酔わせることができる”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」トラックレビュー(pitchfork)

“ミス・ブラウンは点数をつけていた
ヴィヴィアンは何とか落第せずにいた
でも歌い方を間違えた
パレードフロートの上で
虹色のコートの下にレオタードを着た子供だった”

Julia Jacklinからのコメント

Julia Jacklinは「Lydia Wears A Cross」について、下記のように語っている。

“この曲はいろいろなことを歌っていますが、主にカトリックの学校に通う7歳のジーザス・クライスト・スーパースターの熱烈なファンの少女が、どちらが上か見極めようとしていることを歌っています。”

引用元:Julia Jacklin’s “Lydia Wears a Cross” Depicts a Jesus Christ Superstar Fan Wrestling with Religious Doubts(floodmagazine)

幼少期のトラウマは成長してからも傷として残り、それを回復させるには想像以上に時間を要する。

ジュリア・ジャックリン自身も同様の経験をしており、そこから立ち直るまで苦労があったようだ。

“私は愛や思いやりを表現するために言葉を使うような環境で育たなかった。私にとって曲作りは、それを正そうとすることで、その感情を言葉にすることを自分に強いている”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)、サード・アルバム『Pre Pleasure』リリース(Big Nothing)

学校などの閉鎖的な共同体の中で目立つために努力し、喜びを味わうことは大きな達成感をもたらす。

一方でその行為が気づかないうちに自身を縛るものとなってしまう怖さも同時に存在する。

「Lydia Wears A Cross」は自身が経験した幼少期に感じた宗教の危うさと、大人になってから回復にかかるまでの時間と苦悩について、私たちに伝えたかったのではないだろうか。

Lydia Wears A Cross作品クレジット

Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)「Lydia Wears A Cross」のクレジットは下記となっている。

プロデューサー:Marcus Paquin
作詞・作曲:Julia Jacklin
リリース日:2022年5月10日

Julia Jacklinリリースアルバム

Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)は3枚のアルバム(『Don’t Let the Kids Win』、『Crushing』、『Pre Pleasure』)をリリースしている。

3rdアルバム『Pre Pleasure』

PRE PLEASURE
発売日: 2022年8月26日
収録曲:
1.Lydia Wears A Cross
2.Love, Try Not To Let Go
3.Ignore Tenderness
4.I Was Neon
5.Too In Love To Die
6.Less Of A Stranger
7.Moviegoers
8.Magic
9.Be Careful With Yourself
10.End Of A Friendship
フォーマット:Mp3
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2ndアルバム『Crushing』

『Crushing』
発売日: 2019年2月22日
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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1stアルバム『Don’t Let the Kids Win』

DON'T LET THE KIDS WIN
発売日: 2016年10月7日
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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Julia Jacklinプロフィール

Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)

“シドニーで生まれたジュリア・ジャックリンは、ニュー・サウス・ウェールズ州のブルー・マウンテンズの教育者一家に育てられた。10歳のときにブリトニー・スピアーズ、高校生のときにアヴリル・ラヴィーンやEvanescenceに出会い、将来は福祉関係の仕事に就くのではなく、音楽の道に進むことを決意する。20代前半には、フィオナ・アップル、アンナ・カルヴィ、アパラチアのフォークトリオ、Mountain Manといったアーティストからインスピレーションを受け、より深い表現力を身につけるようになった。昼間はエッセンシャルオイルを製造する工場で働き、夜はステージやスタジオで腕を磨いていたジャックリン。「Pool Party」と「Coming of Age」の2枚のシングルは、国内と英国で賞賛を集め、2016年にロンドンのインディ・レーベルTransgressiveと米国のPolyvinylからデビュー・フル・アルバム『Don’t Let the Kids Win』をリリース。このアルバムはオーストラリアで42位に達し、2017年にはヨーロッパでの大規模ツアーが開催された。2018年半ば、Polyvinylはジャックリンが所属するよりアップビートなインディー・ロック・バンド、Phantastic Fernitureのセルフタイトル・アルバムをリリースし、同年9月には米国でファースト・エイド・キッドの公演を開いた。一方、ジャックリンはプロデューサー、バーク・リード(コートニー・バーネット、リアム・フィン)と2作目を録音し、2019年初頭に到着したのが『Crushing』である。”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)プロフィール(All music)

Julia Jacklinの評価

“Julia Jacklinはオーストラリアはシドニーのシンガー/ソングライターだ。Britney Spearsの影響で歌をはじめ、高校に入るとバンド活動を開始。2016年にはデビュー・アルバム『Don’t Let the Kids Win』をリリースした。『Don’t Let the Kids Win』は各メディアから高い評価を獲得。オーストラリア最大の音楽賞、ARIAアワードにもノミネートされた。2019年にはセカンド・アルバム『Crushing』をリリース。The Independent、Rolling Stone、Mojo等はアルバムを絶賛。結果、アルバムはARIAアワードで計6部門にノミネートされるに至った。”

引用元:Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)の評価(Big Nothing)

Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)代表曲(Youtube)

  • Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン) – Coming Of Age (Official Video)
  • Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン) – Body (Official Music Video)
  • Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン) and RVG – Army Of Me (Official Audio) – Björk Cover

ライター:yabori
yabori
BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

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Twitter:@boriboriyabori