最終更新: 2025年2月11日

近年映画界は、コロナやハリウッドの脚本家と俳優のストライキ、そして俳優やスタッフなどのキャンセルなどとにかく暗いニュースが多かった。

さまざまな原因でマーケットは縮小し、もはや観たい海外作品が日本の映画館で公開されること自体が珍しいところまで来ている。

さまざまな事情や問題をはらんでいるので、その原因自体を言及することや批判する自体は今回はやめておくが、

近い将来映画館で映画を観ること自体が特別なことになるのではないかという危機感すら覚えている。

もちろん、家で好きな作品を手軽に観れることはいいことだ。

配信がマーケットを拡大したことで生まれた傑作も多くある。

だけど、やはり自分にとって映画館は特別な場所だ。

それもあって2024年は意欲的に映画館で映画を観た1年だった。

もちろん、2024年は近年稀に見る豊作の年であったことも事実だが、映画館で映画を観ることが何より幸せに思えた1年でもあったのだ。

BELONG読者にも映画好きの人はたくさんいるだろう。そして誰にでも好きな作品はたくさんあるだろう。

だからこそ、ここで言わせて欲しい。

映画を無くさないためにも映画館をなくさないためにも、映画館へ行こう。

そうすることで映画界は元気を取り戻して、これまであなたが興奮した作品を越える、次なる感動を与える作品をもっともっとこの世に生みだしてくれるはずだ。

映画があなたを変えたようにあなたの行動が映画の未来を変える。(滝田 優樹)

※(編集部注)記事は映画ベスト10を選出し、上位の3作品にコメントを記載している。

滝田 優樹 2024年の映画ベスト10

滝田優樹

10.ツイスターズ

監督:リー・アイザック・チョン

9.陪審員2番

監督:クリント・イーストウッド

8.瞳をとじて

監督:ビクトル・エリセ

7.悪は存在しない

監督:濱口 竜介

6.夜明けのすべて

監督:三宅 唱

5.トラップ

監督:ナイト・シャマラン

4.デューン 砂の惑星PART2

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

3.パスト ライブス/再会


監督:セリーヌ・ソン

物語はソウルに暮らす12歳の少女と少年からはじまる。

そこから12年後、24年後と時が移り変わっていきながら紡がれるラブストーリー。

と言ってしまったらなんとなくどこかで見たことのある物語なのだが、ラストに向かってコップにゆっくと水が注がれるように切なさが蓄積されていく。

とあるシーンでコップの水は一気に溢れかえり、言葉通り私の涙腺は崩壊した。

それをさせるのは感動させるような陳腐な演出も突飛なストーリーではない。

右から左、そして左から右に流れるショットなのだ。

それはこれまで2人がともに育んできた、あるいはそれぞれが過ごしてきたかけがえのない時間軸を表現しているとともに、2人の歩みとゆくつく先、感情や欲望、いろんなものが表現されていた。

あんなに濃密で思慮深いショットは今まで観たことがない。今後私はあのシーンを思い出す度に涙するのだろう。(滝田 優樹)

2.ぼくのお日さま


監督:奥山大史

この瞬間、この季節、この時代。目に映る映像全てが刹那の奇跡を捉えていたそんな映画でした。

光のさし方や登場人物の表情、そしてそれぞれが抱える問題。すべて今でないと意味がない、今だから美しくて苦しい。

偶然を捉えているようで、必然性に裏付けられた映像美の数々は、あの日あの時に撮っていなければ観れなかった映像だ。

無意味なショットはひとつもない。だからこそ、この美しさを少しも逃したくなくて1秒も目を離せなくなかった。

そうか、映画って写真の延長上にあるんだ。ということを気付かせてくれた大事な映画。(滝田 優樹)

1.チャレンジャーズ

チャレンジャーズ

監督:ルカ・グァダニーノ

頭から終わりまでずっと脳汁出っぱなしでした。

映画館で映画を見る喜び、楽しさを噛みしめながらニヤニヤしながら釘付で、最後はガッツポーズで劇場を後にしました。

下品なところはどこまでも下品で、緻密なところはとことん緻密。

カメラワークもセリフも劇盤も演出もすべて振りきれていてパーフェクト!

どこまでも痛快で卑猥。それは現代映画に対するカウンターでありつつ、自分が映画に求めているすべてが詰まっていました。

映画の未来を考えると悲しくなるニュースばかりだけどこの映画だけは”チャレンジャーズ”でゲームチェンジャーである。(滝田 優樹)

桃井かおる子 2024年映画ベスト10

桃井 かおる子
桃井 かおる子

10.ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命

監督:ジェームズ・ホーズ

9.異人たち

監督:アンドリュー・ヘイ

8.わたくしどもは。

監督:富名哲也

7.憐れみの3章

監督:ヨルゴス・ランティモス

6.ナミビアの砂漠

監督:山中瑶子

5.ぼくのお日さま

監督:奥山大史

4.ボレロ 永遠の旋律

監督:アンヌ・フォンテーヌ

3.ポッド・ジェネレーション

ポッド・ジェネレーション
監督:ソフィー・バーセス

ホルモンバランスの崩壊で薬がないと歳相応の女性の身体を維持できなくなった私でも子供を授かれる唯一の方法がそこには描かれていて。

フィクションだけど、一つ一つの要素やキャラクターそれぞれの立場がとてもリアル。

お母さんという役割だけじゃない他の役割で私ができる女性支援や児童支援とは何か?

これからの私の生き方のロールモデルのような作品でした。(桃井 かおる子)

2.あんのこと

あんのこと
監督:入江悠

コロナウイルスによる最初の緊急事態宣言で起きた出来事で、被害者は搾取の中で育った女性。

同じ女性ががどれほどいるのかを思いを巡らせました。

彼女達のために私ができることは何かと考えるキッカケを与えてくれた作品です。(桃井 かおる子)

1.若き見知らぬ者たち

『若き見知らぬ者たち』メインビジュアルA
監督:内山拓也

“ありとあらゆる暴力から自分の範囲を守る”という、 物語のキーワードとなるセリフが、ズシンと来ました。

人に寄り添うことと、人のために自分は引くこと、すり減っている気がして自分が人を傷つけていたり、自分のことがどうでもよかった私の全てに響く作品でした。(桃井 かおる子)

2024年のベストムービーまとめ

ベストムービー2024

2024年は人生史上1番映画館で映画を見た1年でした。

特に日本映画は、奥山大史監督、 三宅唱監督、濱口竜介監督、山中瑶子監督、そして黒沢清監督と世界から注目されつつ、

自分も大好きな監督の作品公開が重なった奇跡的な年でした。

海外作品も、公開されたら絶対に見たい監督の作品も多く、特にビクトル・エリセは新作を出すなんて思ってもいなかった。

大学時代に映画研究ゼミを専攻してきたこともあって、こじらせて独特な価値観をもって作品を見ることになってしまったことも否めないけども物語や映像だけでなく、

映画の構造やカメラワークなどいろんな楽しみ方を知れたのはかけがえのない財産だ。

自分にとって映画は音楽と並ぶ程重要なアートフォームだ。そんな自分が人生で一番映画に興奮した年が2024年でした。(滝田 優樹)

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ライター:滝田優樹

1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。

そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。

その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。

退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。

それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。

猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。

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Twitter:@takita_funky

ライター:桃井 かおる子
桃井 かおる子
スマホ、SNSはやっておらず、ケータイはガラケーという生粋のアナログ派。

現在はBELONG以外に、映画館でボランティアスタッフとしても活動中。

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