最終更新: 2023年4月16日

Khruangbin(クルアンビン)はローラ・リー率いる、タイ・ファンクの影響を受けたテキサス出身の3人組バンド。

Khruangbinは今年の3月に初来日したばかりだが、「Friday Morning」は900万回も再生されているほど。

来日公演は即完売し、フジロック’への出演も決定したKhruangbinは一体何者なのだろうか?

また、クルアンビンはMen I TrustやToro y Moiなどとコラボしたライブアルバムシリーズのリリースを発表している。(2023年4月16日更新 BELONG編集部)

Khruangbinとは

Khruangbin
Khruangbin(クルアンビン)はローラ・リー(Ba.)、マーク・スピアー(Gt.)、ドナルド”DJ”ジョンソン(Dr.)の3人組。

バンド自体は2004年に結成され、スピアーとジョンソンがテキサス州ヒューストンの教会でゴスペルバンドを結成していたことが始まり。

そして2007年にスピアーが友達を介してリーと出会い、2009年からリーにベースを教え始め、その翌年2010年にツアーを行い、正式に現在のメンバー構成となった。

Khruangbinの意味

Khruangbinという名前はタイ語で“飛行機”という意味で、現在彼らの公式ウェブサイトは“AirKhruang”と称されている。

まるでフライトチケットを購入して世界へ旅する感覚になるデザインとなっており、特別な仕掛けすらある。

出発地と行き先の空港名を入力し、“窓側か通路側か”などいくつか質問に答えていくと、それに合わせたプレイリストが作成されるのだ。

タイファンクからの影響

Khruangbin
Khruangbinの音楽性はと言うと、冒頭でも少し説明したが60〜70年代のタイ・ファンクに影響を受けているとメンバーは公言している。

タイの大衆音楽のようなクセの強いエキゾチックな東南アジアのテイストが特徴的だ。

ドラムはさほど派手な動きはしないものの、しっかりと安定したリズムでグルーヴ感を生み出し、ベースはそのビートに沿いながらも曲に色気を乗せる。

そしてギターの変幻自在なサウンドと自由自在なフレーズがサイケ感を生み出し、スリーピースながらも物足りなさを全く感じさせない迫力と世界感を生み出している。

フジロックと単独来日公演

Khruangbinは2019年3月に「Japan Tour 2019」と題して東京で2本(1本は追加公演)と大阪で1本のライブを全てソールドアウトで大成功させた。

フジロック2019ではFIELD OF HEAVENステージのヘッドライナーを務め、しかもバンドとしての出演だけではなくDJとしても参加。

そしてフジロック出演を記念して、特別企画盤『全てが君に微笑む』がCDとアナログ盤の2形態でリリースされた。

ライブ定番曲はもちろん、YMOの「ファイヤークラッカー」のカバーも収録されている。

人気の高い2ndアルバム『Con Todo El Mundo』の収録曲を中心に、彼らのライヴの定番となっているメドレーもしっかり収録されたライヴ盤『Live At Lincoln Hall』のCDを2019年12月にリリースした。

Khruangbinの概要

アーティスト名 クルアンビン(Khruangbin)
結成 2010年
出身 アメリカ・テキサス州ヒューストン
レーベル Dead Oceans
バンドメンバー ローラ・リー(Ba./Vo.)、マーク・スピアー(Gt.)、ドナルド”DJ”ジョンソン(Dr.)

Khruangbinのメンバーについて

Khruangbin(クルアンビン)
Khruangbin(クルアンビン)はアメリカのテキサス州出身のローラ・リー(Ba./Vo.)、マーク・スピアー(Gt./Vo.)、ドナルド”DJ”ジョンソン(Dr./Key./Vo.)の3人によって構成されている。

ローラ・リー

Khruangbinの中でも特に注目されるのが、紅一点のベーシスト兼ヴォーカリストであるローラ・リーではないだろうか。

個性的な髪型とエキゾチックな服装が目を引いて離さないローラは、メキシコの血を引くメキシカン・アメリカン。

そのため英語だけでなくスペイン語も話すことができ、アルバム『Con Todo El Mundo(世界中のみんなと一緒に)』のタイトルは彼女の祖父の口癖から取られたものだ。

ローラはギタリストのマークからプレゼントされたベースを今も使い続けており、ほぼ全ての楽曲をそのベースで制作している。(2020年9月16日更新)

Khruangbinのアルバム

全てが君に微笑む [数量限定 / 輸入アナログ盤 / 帯付 / 日本独占流通 ] (ALNKB1)_757 [Analog]
Khruangbinは2015年にデビューアルバム『The Universe Smiles Upon You』をNight Time Storiesよりリリース。

Night Time Storiesと言えば、コンピレーベルとして有名なLate Night Talesの姉妹レーベルとしても有名だ。

2018年にセカンドアルバム『Con Todo El Mundo』を同レーベルよりリリース。

そして2019年7月12日に『Hasta El Cielo』をNight Time StoriesとアメリカのインディーズレーベルのDead Oceansよりリリースする。

ちなみにDead Oceansと言えばフィービー・ブリジャーズ(Phoebe Bridgers)やミツキ(Mitski)などが所属していることでも知られている名門レーベルだ。

The Universe Smiles upon You

2015年に発売されたKhruangbinのデビューアルバム『The Universe Smiles upon You』。

Khruangbinの代表曲と言っても過言ではない「White Glove」も収録されている。

デビューアルバムにも関わらず、すでに完成されたエキゾチックなタイ・ファンクの影響を色濃く感じる。

ドリーミーな音の空間演出と、リズム隊による地に足を着けたヘヴィなグルーヴが交錯するアルバムである。

Con Todo El Mundo

2018年に発売されたKhruangbinのセカンドアルバム『Con Todo El Mundo』。

前作のドリーミーな音像から一変、今作ではよりドライなサウンドに移行したことにバンド全体の音像が引き締まった。

それと同時に各楽器の音に芯を感じるようになり、マークのギタープレイはよりエキゾチックな色味を帯び、リズム隊はよりタイトに。

この作品で、Khruangbinはより深いタイ・ファンクの世界へと足を踏み入れた。

Hasta El Cielo

今回のニューアルバム『Hasta El Cielo』は前作『Con Todo El Mundo』のダブ・アルバム(すでに録音した曲にエフェクトやテープ処理をして別の曲として作り直すこと)としてリリースされる。

ダブ・アルバムを作ることとなった経緯について、元々ジャマイカ人プロデューサーのScientistが関係しているそうだ。

Khruangbinが初めてダブ・アルバムを聴いたのが、ScientistによってミックスされたThe Roots Radicsのダブ・アルバムだったという。

そこから影響されてリーはベースを学び、バンドへも大きな影響を与えたという。

そして今回そのScientistと2曲フィーチャリングしており、メンバーは「ダブ界のレジェンドと作品を作れるのはとても光栄なこと」と話している。

Mordechai

2020年にリリースされたKhruangbinのサードアルバム『Mordechai』。

今までの作品に比べ、歌詞への強い熱量を感じると共にローラのヴォーカルがより際立つようになった。

歌詞の語感やファンキーなリズムを兼ね備えたヴォーカルは一つの楽器として確立しており、インスト曲を中心に展開してきたバンドのアプローチがここで発揮されている。

時代と国境、さらには彼らの原点であるタイ・ファンクの枠組みを易々と飛び越え、Khruangbin独自の世界を創り上げた作品だ。

ライブアルバム

Khruangbin『Live At Stubb's』

クルアンビン(Khruangbin)は、Nubya Garcia、Men I Trust、Toro y Moiなどをフィーチャーしたライブアルバムシリーズを発表した。

このライブアルバムにはテキサス州オースティンのStubb’sでのKhruangbinとKelly Doyle、Ruben Moreno、The Suffers、Robert Ellisとのライブパフォーマンスなどが収録されている。

第一弾アルバムはクルアンビン&Friends『Live At Stubb’s』で、2023年5月19日にリリースされる。

その後も、クルアンビン&Nubya Garcia『Live at Radio City Music Hall』(6月30日)、

クルアンビン&Men I Trust『Live at RBC Echo Beach』(8月11日)、

クルアンビン&Toro y Moi 『Live at the Fillmore Miami』(9月22日)とリリースが続く。

クルアンビンからのコメント

クルアンビン_photo
クレジット:Jackie Lee Young
クルアンビンのメンバーはライブアルバムシリーズについて下記のように語っている。

“世界的な制限が徐々に緩和され、待ちに待った規制の終了を迎えた時、孤立していた人々が歌と踊りを通して一つになるのを見るのは、私たちの立場からすると、まさにスピリチュアルな体験だった。私たちがパンデミック中に発表した曲をオーディエンスが一緒に歌うのを見聞きし、とても愛され、受け入れられていると感じたことは、計り知れないものがあった。私たちは、この旅を記念する方法を見つけ出したいと思い、共演したアーティストを祝して、そのライヴのアートワークや写真を含む一連のライヴ盤をリリースすることにした。まさに記憶に残る時間だった”

引用元:KHRUANGBIN | Khruangbin、Nubya Garcia/Men I Trust/Toro y Moi/Kelly Doyle/Robert Ellis/Ruben Moreno/The Suffersをフィーチャーしたライヴ・アルバム・シリーズをリリース。第一弾『Live At Stubb’s』は、オースティンはStubb’sでのKelly Doyle、Robert Ellis、Ruben Moreno、The Suffersとのライヴ・パフォーマンスを収録。
(Big Nothing)

クルアンビンのツアー活動

クルアンビンは、世界各地の音楽を融合したことで知られている。

彼らは、Glastonbury、Primavera、Coachellaなどの世界中の主要なフェスティバルで演奏し、2022年には、LAのGreek Theatre、ニューヨークのRadio City Music Hall、ロンドンのAlexandra Palaceで伝説的な公演を含む、バンド史上最大規模のツアーを実施した。

クルアンビンのコラボレーション

また、Khruangbinは最近、マリ人のギタリストVieux Farka Touréとコラボレーションし、彼の亡き父Ali Farka Touréを称えるアルバムを制作。

さらに、2022年には、Leon Bridgesとの2度目のコラボレーションEP『Texas Moon』をリリースし、R&Bの境界を広げた。(2023年4月16日更新 BELONG編集部)

クルアンビン リリース

全てが君に微笑む

全てが君に微笑む [解説・ボーナストラック収録 / 全曲初CD化 / 紙ジャケット仕様 / 日本限定国内盤] (BRC605)
クルアンビン Khruangbin
BEAT RECORDS / Night Time Stories (2019-07-12)
売り上げランキング: 1,577

収録曲:
1. A Calf Born in Winter / 冬に生まれた子牛
2. The Recital That Never Happened / 夢に終わったリサイタル
3. Master of Life / マスター・オブ・ライフ
4. The Number 3 / ナンバー3
5. The Number 4 / ナンバー4
6. The Infamous Bill / 悪名高いビル
7. Il Clan Dei Siciliani / シシリアン
8. Ha Fang Kheng Kan / 恋比べ
9. La Javanaise / ラ・ジャヴァネーズ
10. Firecracker / ファイアークラッカー

Hasta El Cielo (Con Todo El Mundo in Dub)

Hasta El Cielo (Con Todo El Mundo in Dub) [解説・国内仕様輸入盤CD] (BRALN50DUB)
Khruangbin クルアンビン
BEAT RECORDS / NIGHT TIME STORIES (2019-07-12)
売り上げランキング: 11,279

収録曲:
1. With All The World
2. Sisters & Brothers
3. Mary Always
4. Four of Five
5. How I Love
6. Sunny’s Vision
7. A La Sala
8. The Red Book
9. Order of Operations
10. Hasta El Cielo
11. Rules – Scientist Dub [BONUS TRACKS] 12. Como Te Quiero – Scientist Dub [BONUS TRACKS]

LIVE AT LINCOLN HALL

LIVE AT LINCOLN HALL 日本独占流通盤 [輸入アナログ盤 / 帯付 / 数量限定ホワイト・ヴァイナル / 1LP] (ALNLP50RTJP)_870 [Analog]
KHRUANGBIN クルアンビン
BEAT RECORDS / Night Time Stories (2019-12-13)
売り上げランキング: 33,595

収録曲:
1. Cmo Me Quieres
2. Lady and Man
3. Evan Finds the Third Room
4. Lincoln Hall Potpourri
The Next Episode, It Was A Good Day, Got Your Money, Electric Relaxation, Your Love, Sun Goddess, Time: Donuts of the Heart, Nothin’ But a G Thang, Summer Madness
5. Maria Tambin
6. People Everywhere

Texas Sun

収録曲:
1. Texas Sun
2. Midnight
3. C-Side
4. Conversion

Mordechai

収録曲:
1. First Class
2. Time (You and I)
3. Connaissais de Face
4. Father Bird, Mother Bird
5. If There is No Question
6. Pelota
7. One to Remember
8. Dearest Alfred
9. So We Won’t Forget
10. Shida

Live At Stubb’s

Khruangbin『Live At Stubb's』
アーティスト:クルアンビン&Friends
発売日:2023年5月19日
収録曲:
(Side A)
1.Kelly Doyle – Woman Trouble
2.Ruben Moreno – At The Trailride
3.The Suffers – Don’t Bother Me
4.Robert Ellis – Nobody Smokes Anymore
5.Khruangbin – Blind Man Can See It / (It’s Not The Express) It’s The Monaurail
6.Khruangbin – Bin Bin
(Side B)
1.Khruangbin – Friday Morning
2.Khruangbin – Number 4
3.Khruangbin – People Everywhere (Still Alive)

Live at Radio City Music Hall

アーティスト:クルアンビン&Nubya Garcia
発売日:2023年6月30日

Live at RBC Echo Beach

アーティスト:クルアンビン&Men I Trust
発売日:2023年8月11日

Live at the Fillmore Miami

アーティスト:クルアンビン&Toro y Moi
発売日:2023年9月22日

クルアンビン プロフィール

Khruangbin
米・テキサス州ヒューストン出身の3人組ファンクバンド。メンバーはローラ・リー(Ba.)、マーク・スピアー(Gt.)、ドナルド”DJ”ジョンソン(Dr.)の3人組。2004年に結成され、スピアーとジョンソンがヒューストンの教会でゴスペルバンドを結成していたことが始まり。60年代のタイのファンクから影響を受ける。ボノボに見出されたのを機に注目され、グラストンベリーやSXSWなどの大型音楽フェスにも出演。2015年に『ジ・ユニバース・スマイルス・アポン・ユー』でアルバム・デビュー。2018年に2ndアルバム『コン・トード・エル・ムンド』をリリース。

Khruangbin代表曲

  • Khruangbin – Mary Always
  • Khruangbin – Evan Finds The Third Room
  • Khruangbin & Leon Bridges – Texas Sun (Official Audio)

クルアンビン ライブ動画

Khruangbin @ Villain | Pitchfork Live

ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
Rio Miyamoto
BELONG Mediaのライター/翻訳。18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、インターナショナルビジネスを専攻。兵庫県出身のサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。2017年には全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をインディーズレーベル、Dead Funny Recordsよりリリース。サイケデリック、ドリームポップ、ソウル、ロカビリーやカントリーなどを愛聴。好きなバンドはTemplesとTame Impala。趣味は写真撮影と映画鑑賞。
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