最終更新: 2026年8月28日
歌詞へのこだわり
-わきき:ここで歌詞についても少し伺いたいです。カイさんが歌詞を書かれているということですが、メンタルヘルスや家庭内暴力、戦争への不安といった非常にシリアスな問題を扱っている印象があります。そうしたテーマを歌詞として取り上げる時にどのようなことを大切にされていますか?またそうしたものを音楽として表現することは、カイさんにとってどういった意味を持っていますか?
The Guest List「Mary」 (Official Video)
デビューアルバム『Something Real』収録
カイ:曲の中で扱うテーマが深刻であればあるほど、レコーディングやリリースの扱い方には慎重さが必要だと思っています。
僕がそういうことについて書くのは、自分自身がその問題を大切に思っているからこそです。正直な気持ちから生まれているものですし、無難なことを書くのではなく、興味深くて、実際に人々が大きな影響を受けているようなことを書きたいという思いからでもあります。

そういう深刻なテーマについて書くことの責任を僕らは軽く見ているわけではなくて、どのライブでも、どのレコーディングでも、そのことをちゃんと意識しています。
同時に、そこから目を逸らしたり、大切に思っていることから逃げたりはしたくないんです。曲を書くうえで、それだけはしたくないと思っていますね。
届くべき人へ ― Right Audienceとは
-わきき:以前、「曲が必ずしも大きなヒットになる必要はなく、”Right Audience(届くべき人たち)”に届くことが大切」と話されていました。カイさんにとって、The Guest Listの音楽を必要としている”Right Audience”とはどのような人たちでしょうか?歌詞のお話ともつながるかもしれません。
カイ:曲によって変わると思います。
正直、誰でも僕らのバンドを好きになれると思っているんです。
ただ、おそらく僕ら自身と同じように、人生の道を探している若い世代にも届いてほしいとは思っています。
曲が持ちうる一番の力は、誰かが何かを感じているときに、「自分はひとりじゃない」と思ってもらえることなんじゃないかな。
「こういうことは、これまでにも起きてきたんだ」と感じられるような。
特定の誰かを思い浮かべて書いているわけではなくて、僕らは自分たちのために、僕は自分自身のために書いています。
だからこそ、僕らのオーディエンスは僕らと似たような人たちになっているんだと思います。少なくとも地元ではそうですね。
なんというか、僕らはただ自分たちのために曲を書いていて、リスナーはその結果として付いてくる…そんな感覚です。
でも誰だって、The Guest Listの曲を好きになれると思っています。
『Something Real』に込めたもの
-わきき:その考え方はアルバムタイトル『Something Real』にも通じているように感じます。自分たちのリアルな体験や想いを曲にして、本物の音楽を届けるという意味合いですね。収録曲の一つである「Something Real」をアルバム全体のタイトルにも選んだ理由を教えてください。
The Guest List「Something Real」 (Official Video)
デビューアルバム『Something Real』収録
カイ:まさにその通りです。曲それぞれが一つの歌詞のテーマで結ばれているわけではないと思いますが、それら全てをつなぐ「姿勢」のようなものはあると思っています。
それは、僕らが本当に信じている音楽を作っているんだ、ということを伝えたいということです。僕ら自身が本物だと思える音楽を。
僕らにも、僕らが作る音楽にも、小手先のギミックや小細工はありません。そして、そういうやり方が当たり前になっているような世界に向けて進んでいきたいと思っています。
僕らも、そして僕らと同じ世代の多くの人たちも、自分たちが育ってきた世界の「嘘っぽさ」にどこかで幻滅していると思うんです。だからこそ、人間らしくいられる場所があるのはいいことですよね。
デビューアルバムに刻まれた5年間
-わきき:デビューアルバム『Something Real』が完成した今、改めてこの作品を振り返ると、ご自身たちにとってどんな作品だと感じていますか?
カイ:僕はずっとデビューアルバムを作りたかったんです。本当に、人生ずっとそう思ってきました。
僕にとって本当に大事なことですし、バンドにとっても間違いなくそうだと思います。
音楽を仕事にしたいと思って育ってきたミュージシャンにとってデビューアルバムって、実現するまでは人生で一番大きな瞬間のように感じられるものなんだと思います。
それに僕にとってこのアルバムは、レコーディングしたこと、ベルゲンで過ごした時間、アルバムを書いていたこと、そういう思い出がたくさん詰まったものでもあります。
それぞれの曲を書いていた時期に、自分が人生のどの地点にいたのかということも含めて。
だから、僕らにとって本当に大きな出来事です。この5年間、僕らがやってきたことすべてが、このアルバムでひとつの区切りを迎えた、そんな感覚です。
だから、そうですね……僕らにとってはある意味、すべてなんだと思います。
日本のリスナーへ
-わきき:最後に、今回サマーソニック出演のために来日されています。初めて日本のステージに立つ今のお気持ちと、これからThe Guest Listの音楽を受け取る日本のリスナー、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

カイ:すごく楽しみにしています。
観客の皆さんがどんな反応をしてくれるのか、正直まだ分からないですけど。
もちろん、今までで一番、地元から遠く離れた場所で演奏することになります。
しかも朝11時というかなり早い時間の出演なんですが、日本ではそれは問題ないみたいですね(笑)。
とにかく本当に待ちきれないですし、僕らの音楽が新しい観客、新しい文化の中でどんな影響を与えるのかを見るのが楽しみです。
本当にワクワクしています。
-わきき:質問は以上になります。最後まで真摯にお答えくださって、ありがとうございました。
カイ:アリガトウ。
The Guest List in Japan
The Guest Listアルバムリリース
デビューアルバム『Something Real』

発売日: 2026年8月28日
レーベル: ARTIST THEORY RECORDS
発売元: ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
収録曲:
01.Something Real
02.Ruine
03.You Should Care
04.Sick Animal
05.Mundane
06.If Ever Your Devil is Kind
07.Pink
08.Craven
09.Slow Down Sally
10.Mary
11.Weatherman
12.The Only Ones
The Guest Listバンドプロフィール

カイ・アルティ(Vo./G.)、トム・クイグリー(G.)、レイオ・ハンター(G.)、シド・ウォレス(Ba.)、アンガス・ギルクリスト(Dr.)からなる。
SNSに投稿したカバー動画をきっかけに注目を集め、GlastonburyやTRNSMTなどの大型フェスへの出演をはじめ、Blossoms、DMA’S、Inhalerらのサポートアクトを務めるなど、UKで着実に支持を広げている。
2026年、デビューアルバム『Something Real』をリリース。マンチェスターをルーツに、幅広い音楽的影響を取り入れたギターロックを基盤としながら、社会への鋭い眼差しを反映した独自のサウンドを追求している。
HP:https://www.theguestlist.band/
Youtube:@TheGuestListOfficial
Instagram:@theguestlist.band
ライター:Wakiki(わきき)

コーヒーとタバコと音楽が好きなベイスターズファン。三重県在住。今まで執筆した記事はこちら
Instagram:@wakiki_310










