最終更新: 2020年6月9日

アンダーグラウンドから新しい発見へと、常に進化し続けるインディー・シーン。それを一番盛り上げているのはニューヨーク・ブルックリンだと言っても過言ではない。

様々なアーティストたちが生まれるブルックリンで10年前に結成されたバンドが、キップ・バーマン率いるTHE PAINS OF BEING PURE AT HEARTである。

彼らが、6月28日に4枚目のアルバムとなる『THE ECHO OF PLEASURE』を発売する。

『Days of Abandon』から3年ぶりとなる今作は、前作に引き続きMy Bloody Valentineの『mbv』などを手掛けたアンディ・サヴールがプロデュースとミックスを担当している。

そしてこの作品は日本先行発売が決定している。

THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTとは

THE PAINS OF BEING PURE AT HEART
1stアルバム『THE PAINS OF BEING PURE AT HEART』が発表された時からTHE PAINS OF BEING PURE AT HEARTは話題であり、注目されている存在だった。

THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTの持ち味である清々しいほどのポップなメロディに重ねる爽やかなノイズと濁らないドリームポップ。

そして『BELONG』では軽やかなままプラスされたノイジーなシューゲイザーテイストを。

キップが「本当に自分の理想に近い作品になった」と語る『Days of Abandon』で快活な残響にモジュレーションエフェクトと、THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTは作品ごとにスケールが大きく、

かつ彼らがルーツにしていたアーティストやジャンルからインプットしたものをアウトプットし、その領域に一歩ずつ確実に近づいている。

『THE ECHO OF PLEASURE』

THE ECHO OF PLEASURE

『THE ECHO OF PLEASURE』は、THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTとしてのオリジナリティを確立させたアルバムである。

チャレンジを重ね、熟練されていった音楽たちが結果として肩を並べて収録されている。

アルバムの始まりを飾る「My Only」はKlaxonsの「It’s Not Over Yet」を彷彿とさせるようなイントロのシンセイザーラインから始まる。

神聖さが付加されたこのループラインが最後までベースとなり、その上に鮮明なリズムと柔らかな効果が重なりあったドリームポップサウンドが展開されていく。

非常に耳に残る印象的な仕上がりだ。このアルバムの代表曲でもある「Anymore」はがっつりシューゲイザーを思わせる空間+ノイズエフェクトが特徴で、シューゲイザーキッズたちの胸をざわつかせる。

その両方を活かした「The Garret」や「The Cure For Death」はリズミカルかつポップで爽快な進行とボーカルが心地よく響く中、スパイシーなノイズが合わさっている。

しかし、やはり彼らの根元にあるインディーポップという基盤が強い。

「Falling Apart So Slow」を始め、進行やサウンドチョイスの瑞々しさは彼らの魅力として今もなお損なわれずに表れている。

また「So True」では近年話題のA Sunny Day In Glasgow のJen Gomaが前作・ツアーに引き続きボーカルで参加。

キップのボーカルと女性ボーカルを入り交えることは彼らのジェンダーレスな音楽を支える大切な選択である。

THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTは、今作でよりシューゲイザーバンドを例える時に迷いなく名前が挙がる存在となった。

TEENAGE FANCLUBを思わせるようなギターポップとインディーロックとが出会ったドリーミーノイズはシューゲイザーの新しい心地よさを教えてくれるようだ。

暖かい日の昼下がりが似合う爽やかポップバンドだった彼らが、まるで夜のライトで輝くメリーゴーランドのような優雅さをも含みながら、なめらかでマットな音と躍動感あるエコーたちと他楽器のサウンドを取り入れることで様々な顔を見せるようになった。

新世代シューゲイザーバンド筆頭

新世代シューゲイザー・ドリームポップバンドの筆頭となりつつあるTHE PAINS OF BEING PURE AT HEART。

先人たちにリスペクトを持ちながら形を変えていくことを多角的に考え、トライした彼らのオリジナリティがここにはある。

太陽の陽がガラスに反射してキラキラと光るような透き通ったサウンドの心地よさ、清らかな風を感じるような高純度のフレッシュさは1stアルバムから受け継がれている。

これは新世代の音楽シーンにおいて、そして何よりもっと飛躍していくであろうTHE PAINS OF BEING PURE AT HEARTという存在において、重要な役割を果たすだろう。(pikumin)

リリース


『THE ECHO OF PLEASURE』
発売日:2017年6月28日(日本先行発売)→2017年8月2日(日本先行発売)
※発売日が変更となりました。(6月21日更新)
収録曲:
1. My Only / マイ・オンリー
2. Anymore / エニモア
3. The Garret / ザ・ギャレット
4. When I Dance With You / ホェン・アイ・ダンス・ウィズ・ユー
5. The Echo Of Pleasure / ジ・エコー・オブ・プレジャー
6. Falling Apart So Slow / フォーリング・アパート・ソー・スロウ
7. So True / ソー・トゥルー
8. The Cure For Death / ザ・キュア・フォー・デス
9. Stay / ステイ
10. Violet & Claire / ヴァイオレット・アンド・クレア*
*日本盤ボーナス・トラック

プロフィール

THE PAINS OF BEING PURE AT HEART

“ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートは、2009年にアルバム『ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート』でデビューした。同アルバムはビルボードの注目新人チャートで9位を記録し、PITCHFORKやNME他で2009年のベスト・アルバムの一枚にも選ばれ、日本でも「CDショップ大賞」の洋楽部門でレディー・ガガに続く準大賞を獲得。草の根的なかたちでヒットを記録した。2011年にはセカンド・アルバム『ビロング』をリリース。プロデュースはフラッド、ミックスはアラン・モウルダーという布陣で制作された同アルバムは、彼らの著しい成長ぶりを見せつけた名盤となり、各国でヒットを記録。アメリカと日本ではチャート的にも大きな成果を記録した。2014年、中心人物キップ・バーマン以外のメンバーを一新したバンドは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの復活作『mbv』を手掛けたアンドリュー・サヴールをプロデューサー/エンジニアに迎えて制作されたサード・アルバム『デイズ・オブ・アバンダン』をリリース。よりパーソナルな内容となり、キップ自身も「本当に自分の理想に近い作品になった」と語る同作も、前作に続きヒットを記録した。”

引用元:THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTプロフィール(Big Nothing)

YouTube

The Pains of Being Pure at Heart – Anymore (Official Video)

The Pains of Being Pure at Heart – So True (Official Video)

The Pains of Being Pure at Heart – When I Dance With You (Official Video)