最終更新: 2026年4月26日

4月7日から4月9日までの3日間で東名阪を巡る、3年ぶりとなる来日公演を終えたばかりのStella Donnelly(ステラ・ドネリー)にインタビューを行った。

2025年11月には3作目のアルバム『Love And Fortune』をリリースし、それを引っさげたツアーは今回の来日公演の前にオーストラリア、イギリス、ヨーロッパと回ってきたという。

前作『Flood』の制作前と同様に、今回の『Love And Fortune』も意識的に音楽活動から離れる過程をもって制作された作品だ。

静謐なピアノやシンセとアンビエンス、そして煌びやかなギターサウンドで彩られた楽曲が中心で、感情の機微を表現するかのように最も親密な音響をもって、芳醇なハーモニーを聴かせる作品になったのは、その積極的な休養がもたらした産物なのだろう。

テーマもサウンドもこれまで以上に内省的な作品となった『Love And Fortune』と、ユーモアあふれる来日公演を振り返りつつ、彼女自身のルーツであるオーストラリアについて、Stella Donnellyは爽やかで明朗快活な様子でインタビューを対応してくれた。

“悲しみや怒り、フラストレーションがベースにある中で、その隙間に喜びを忍び込ませていくことで、聴いている人にちょっとした希望を感じてもらえたらいいなと思っているの。”

彼女と彼女の音楽の魅力はそこにある。

アーティスト:ステラ・ドネリー(Stella Donnelly) インタビュアー:滝田優樹 通訳:竹澤彩子(Ayako Takezawa)

桜の季節の再会

Stella Donnelly
撮影:古溪一道(Kazumichi Kokei)

3年ぶりの来日公演を振り返って

-滝田:3年ぶりとなる来日公演を終えられた直後ということで、まずその感想をお聞きしたいと思います。大阪、名古屋、東京の3公演でしたが、印象的だった土地やエピソードがあれば教えてください。バースデーサプライズもあったと聞きましたが。

ステラ:今回、初めて桜の季節に日本を訪れることができた。街全体がときめいているような感じで、人々が春の喜びで外に出てきているエネルギーが空気からも伝わってきて、それがライブにも本当にポジティブな影響を与えてくれたと思う。日本が大好きだから、また戻ってこれて本当に嬉しかったわ。

桜と記憶、世代をこえた喜び

-滝田:桜は日本人にとっても特別なものですが、あなたの目に桜はどのように映りましたか?

ステラ:桜の木の下で楽しんでいる人たちを見て、その瞬間だけじゃなくて、先祖や先人たちも歴史を通じて同じようにここで楽しんでいたんだなということが、ふと心に浮かんできた。クリスマスに何世代もかけて思い出が積み重なっていくのと似た感覚ね。オーストラリアにも“ジルバシーズン”という季節があって、春の訪れを告げる小さな黄色い花が咲くと、街が一斉に明るくなって“これから春が始まる”という気持ちになる。桜を見ながら、そのことを思い出したわ。

ツアーが教えてくれること

Stella Donnelly

国より町が違う、オーディエンスの個性

-滝田:日本公演の前に、オーストラリア、イギリス、ヨーロッパとツアーを回られましたが、土地ごとに反響や雰囲気の違い、あるいは共通点はありましたか?

ステラ:それが面白くて、国単位というよりも、町ごとにお客さんのリアクションが全然違うんだよね。オーストラリア国内でも町によって異なるし、イギリスでも、ものすごく盛り上がる会場もあれば、静かに聴いてくださる会場もある。人種というよりも、その土地に根付いたカルチャーや風土がライブの雰囲気に影響しているんだと感じる。今回の日本公演で言うと、名古屋のお客さんから一番大きなエネルギーを感じたのが印象的だった。

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