最終更新: 2026年5月21日
ナターシャの歌声と制作アプローチ

-わきき:ナターシャの歌声は、ソウルフルな熱を内に秘めながら、涼やかな繊細さを持っている印象です。今作を歌うにあたって、表現面で特に意識されていたことや、こだわりがあれば教えてください。
ナターシャ:ありがとうございます!2枚目は1枚目とはっきり違う感覚があって、特に歌い方へのアプローチが変わった。アレンジに自然にフィットして、包み込むような声の置き方を探していたの。ラカと私が“もっとやわらかく歌った方がいい”“普段話すときのような感じで歌った方がいい”と感じて、録り直した曲もいくつかあった。だからこそ、とにかくリラックスしていることが必要だった。でも、なぜかスタジオでは緊張しやすくて、自分でも理由がわからないんだけど(笑)。そういうときは少し外に出て、太陽の光を感じたり、風に当たったり、道行く人を眺めたりして、頭をすっきりさせてからスタジオに戻ったりしていた。スタジオの照明を落とすことも好きで、そうすることで自分の声と曲の感覚に集中しやすくなるから。
サウンドのバランスと構築
-わきき:今作のサウンドは、ナターシャの歌声の周りに静かに風景を描いていくようなギターの温かな滲み、ゆったりとしたリズム隊が、ノスタルジックな余白を生んでいるように感じます。こうした歌声と楽器の関係性やバランスは、どのように構築されていったのでしょうか?
シナトラ:それに関しては、すべてのアレンジをしっくりくる場所に置いて、それぞれの量をきちんと保つことだけを意識したんだ。どの要素も他を圧倒しようという意図はなかったから、ボーカルと楽器のバランスは自然と決まっていったよ。
パーカッションの多層的な世界
-わきき:今作では、ドラムとラテン楽器を軸に、ギロ、マレット、ウィンドチャイムなど多彩なパーカッションが重なり、より色彩豊かなリズムが生まれています。この複層的なサウンドは、どのような意図やイメージから生まれたのでしょうか?また、ライブではどのように再現、あるいは再構築する予定ですか?
シナトラ:2枚目のアルバムは、ライブサポートメンバーのサンディ(パーカッション)とレサ(Ba.)を含む全員で一緒にライブレコーディングしたんだ。そのことで、パーカッションのレイヤーがアレンジに自然に入ってくる余地が生まれたんだと思う。アルバムの中には、旋律的な楽器としてではなく、パーカッションの一部として機能しているギターパートもあるよ。
制作の転機となった一曲
-わきき:今回のアルバムの中で、制作の転機となった楽曲や、特に重要な意味を持つ1曲があれば教えてください。その曲が生まれた背景と、バンドにもたらした変化についてもお聞かせください。
ナターシャ:私にとっては「The More」かな。何度もアレンジが変わって、最終的には原型とは全然違う曲になった。でも最終的に、あの曲の一番いいかたちになったと思う。正直、これまでで一番録音が難しかった曲のひとつでもあって。ボーカルをとてもやわらかく、コントロールされた状態で保つ必要があったから、正しい感情を見つけるのに本当にたくさんのものを費やした。間違いなくチャレンジングだったけど、聴いてくれた人たちに伝わっていたらいいなと思う。
このアルバムをどんなときに聴いてほしいか
-わきき:前作『Perak』が街の灯りを心に灯すような印象だったのに対し、今作はホテルの窓辺で雨粒を眺めるような、静かなひとときへと誘う感覚があります。この作品を、どのような時間や場面で聴いてほしいと考えていますか?
ナターシャ:あなたが表現してくれたように、静かな安らぎを感じてもらえたら。人生が変わっていくような瞬間に、そばにいてくれるような音楽になれたら、と思う。このアルバムは、自分自身の旅についての問いかけ、通り過ぎていく変化、そして少しずつより良い自分になっていく経験、そういうものと深くつながっている気がしている。そういった瞬間のサウンドトラックの一部になれたらいいな。
日本のリスナーへ
-わきき:最後に、日本のリスナーへメッセージをお願いします。
シナトラ・ナターシャ:また日本に行くのが待ちきれないよ!ヤバい!!!!
Thee Marloesアルバムリリース
2ndアルバム『Di Hotel Malibu』

発売日: 2026年5月22日
レーベル: Big Crown Records
収録曲:
1. Under the Silver Moon
2. 6 Years
3. Harap Dan Ragu
4. Through the Changes
5. Di Hotel Malibu
6. I’d Be Lost
7. Di Dalam
8. I’m Just a Girl
9. The More
10. Selatan
11. What’s On Your Mind
12. Crazy Eyes
13. Boru
14. Rahasia
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Thee Marloesバンドプロフィール

Thee Marloesは、インドネシア第二の都市スラバヤを拠点とする3人組バンドである。ナタッシャ・シアントゥリ(Vo., Key.)、シナトリャ・ダラカ(Gt.)、トミー・サットウィック(Dr.)の3人で構成され、ソウル、ジャズ、ポップの要素を独自の文化的背景と融合させたサウンドが特徴だ。2023年にシングル「Midnight Hotline」でBig Crown Recordsからデビューし、2024年の1stアルバム『Perak』で国際的な注目を集めた。歌詞には英語、インドネシア語、バタック語が混在し、故郷の音楽的記憶と世界的なグルーヴを橋渡しするサウンドは、インディー・ソウルシーンにおいて独自の存在感を放っている。
Instagram:https://www.instagram.com/theemarloes/
Bandcamp:https://theemarloes.bandcamp.com/
ライター:Wakiki(わきき)

コーヒーとタバコと音楽が好きなベイスターズファン。三重県在住。今まで執筆した記事はこちら










