ジューン・マクドゥーム(June McDoom)の音楽に感じるのは、どこまでも豊かな奥行きだ。
南フロリダのジャマイカ系移民の家庭で、音楽に囲まれて育ったジューン。
自身のルーツを礎に、さまざまな音や感情を包み込むハーモニーが、彼女の音楽に豊かな広がりをもたらしている。
ハープのきらめきが目の前の景色を塗り替え、柔らかく空気を震わせる歌声が耳をくすぐる。
その歌声に手を引かれるように足を踏み入れた世界は、現実から遠く離れた空想の場所であるかと思いきや、実は自分の胸の奥深くにこそ広がる世界なのだと、すぐに腑に落ちた。
自分という存在を形作ってきた感情や記憶を一つひとつ掬い上げるように、ギターやハープをはじめとする幾重もの音に身を委ねていると、この心の中の宇宙が、どれほど豊かなものなのかに気づかされる。
冬の訪れを前に届けられたデビューアルバム『Follow The Light』。
日々の喜びも痛みも抱えたまま眠る私たちの傍らで、その光は暖炉の火のように揺らめきながら、すべてを温かな腕で抱きしめてくれる。
そんな光を音楽に灯したジューンは、どのような想いを込めてこの作品を作り上げたのだろうか。
彼女の言葉に耳を傾けてみよう。
June McDoomインタビュー
アーティスト:ジューン・マクドゥーム(June McDoom)
インタビュアー:わきき(Wakiki)
翻訳・編集・校正:BELONG Media / A-indie
June McDoom「Without You」(Official Video)
デビューアルバム『Follow The Light』収録
ジャマイカ音楽とともに育った幼少期
-わきき:幼い頃から、ジャマイカの音楽に溢れたご家庭で育ったと伺っています。幼少期の音楽に関する記憶で、今でも印象に残っている景色や状況はありますか?また、そうした幼少期の音楽体験は、現在のジューンさんの音楽にどのようにつながっていると思いますか?
ジューン:子どもの頃、祖父のメント・バンド(バンジョー、フルート、ヴァイオリン、ギターなどを使うジャマイカのフォーク音楽)が家族の集まりで演奏するのを見た思い出は、私にとって特別なものでした。父もDJをするのが大好きだったので、家の中ではいつもそういった音楽を聴いて育ちました。
このアルバムを作るまで自分では気づいていなかったのですが、そうした環境で育ったことは、ミュージシャンとしての私の形成や、音楽の聴き方に、根底で確実に影響を与えていたのだと思います。
バカラックとフォークに導かれて
-わきき:ジューンさんの音楽や、音楽との向き合い方に大きな影響を与えたアーティストや作品はありますか?また、どのようなところに影響を受けたのでしょうか?
ジューン:自分自身の音楽を作り始めたいと思った頃、バート・バカラックと制作したディオンヌ・ワーウィックの初期のレコードに出会い、大きな影響を受けました。それらの作品を通して、豊かに音を重ねたレコーディングの魅力を知り、自分なりの方法でそれを実現したいと思うようになりました。
Dionne Warwick「Walk on By」
また、1960年代後半のアメリカのフォーク音楽のレコードをたくさん聴いたことも、曲を書き始めるきっかけになりました。特に、ヴァシュティ・バニヤンやジュディ・シルのような、アンダーグラウンドなフォーク・アーティストたちから影響を受けました。
Vashti Bunyan「Just Another Diamond Day」
Judee Sill「The Kiss (Remastered)」
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